SOLIZEの看板の横に立つSOLIZEチームメンバー2名。

インタビュー

Materialise Magicsのユーザー事例: SOLIZE株式会社

5 分で読めます|出版 10月 20, 2021

Materialise は技術に熟達した世界中の「AMチャンピオン」の方々をご支援したいと考えています。Magicsユーザーはお客様であるにとどまらず、大切なパートナーです。今回は、長くおつき合いいただいている皆様に、なぜこのソフトウェアを選んだのか、私たちの製品がどのように貢献しているのか、今後の展望についてお話を伺いました。

 SOLIZE株式会社(ソライズ)は1990年に設立、東京に本社を置く、デザイン;設計から試作、生産準備に至るまでの製品開発を支援するエンジニアリング企業です。AM(アディティブマニュファクチャリング)の領域では、現在37台のハイエンドクラスの3Dプリンターを活用して、さまざまな企業の製品開発におけるデジタル化を支援しています。AMの主な用途としては、光造形や粉末造形、金属、樹脂素材などを活用した試作品と最終製品の造形です。

同社のAM事業におけるMaterialiseの役割について、デジタルマニュファクチャリングサービス事業部の太田亨氏(AMサービスビューロー部部長)と乃村嘉裕氏(AMシステム部部長)にお話を伺いました。

SOLIZEでAMシステム営業部長の野村義弘とAMサービス局長の太田亨と記念撮影。
左:乃村嘉裕氏(AMシステム部部長),  右:太田亨氏(AMサービスビューロー部部長)

最終製品では、どのようにAMを活用しているのでしょうか

主な例を挙げると自動車メーカーでは古い車種の補修部品に、AMを活用しています。金型を使わずに必要な数だけ造形できる点でご評価頂いています。(例:トヨタ自動車株式会社様、日産自動車株式会社様).

変わった事例では慶應義塾大学医学部発のベンチャー企業であるOUI Inc.が開発するSmartEye Cameraの外装部品の造形をしています。 Smart Eye Camera (SEC)は白内障などの前眼部の眼科疾患を診療するための医療機器です。スマートフォンにデバイスを取り付けて使用するので、眼科医療へのアクセスが難しい僻地や発展途上国でも診察ができる利点があります。OUI Inc.では自社でも3Dプリンターを活用して試作していましたが、さまざまな課題があり悩まれていたとのことで当社にご相談いただきました。

株式会社オーアイのイメージ。スマートアイカメラをスマートフォンに装着したところ
Smart Eye Camera(SEC)は、AMがヘルスケアにもたらす利点を示す好例

そこで、単純に造形するだけではなく、エンジニアリングや設計ノウハウの提供も含め、設計から造形、検証というサイクルを短期間で繰り返す仕組をご提供しました。その結果、課題をクリアし、製品化を支援できました。

Materialise Magicsに部品が配置されているPC画面の前で、SOLIZE社の社員が
各パーツの配置を最適化することで、コスト削減を実現

Materialiseのソフトウェアを扱うようになった経緯を教えてください

Magicsを初めて導入したのは2001年頃です。それまでは光造形のサポート設計に別のソフトウェアを採用していたのですが、造形ボリュームも増え、多くのスタッフを抱えていたのに、常に人手不足の状態に陥っていました。Magicsを導入してからは生産性が上がってきたのを覚えています。また、粉末焼結機の配置については、それまで十数名のスタッフとPCで運用していた業務を、 Sinter モジュール の導入でたった1台のPCで処理できるようになり、大きな衝撃を受けました。

また、2008年にベルギーにあるMaterialise本社に訪問した時のことも強く印象に残っています。その当時、日本で3Dプリンターといえば試作品の造形にしか使われていませんでしたが、その頃からMaterialiseでは、3Dプリンターによる最終製品の造形に意欲的に取り組んでいました。

「Materialiseのソフトウェアを活用するメリットは、自分たちが標準化している作業や設定を自動化できる点が最も大きいと感じています。MagicsやSinter、File Robot、そしてe-Stageのいずれも、自分たちのやり方がそのままソフトウェア上に自動的に反映できる点に魅力を感じます。」

— - SOLIZE株式会社 AMサービスビューロー部 部長 太田亨氏

ソフトウェアソリューションに求めるポイントは何ですか?

2013年頃に3Dプリンターが多くの方に認知されるようになってからは、個人ユーザーの方からも造形の相談を受けるケースが増えました。それまで以上に多種多様なオーダーが来るようになった一方で、個々のデータを修正する人的コストも増えて効率化が課題になりました。その際も Robot (工程管理システムStreamicsの一部) によってデータ修正を自動化することにより、最終的には業務の約80%を自動化することができました。現在に至るまで当社の業務効率化には、Materialiseのソフトウェアが大きく寄与しています。

様々な3Dプリンターが一堂に会した部屋
アディティブマシン(積層造形機)が並ぶ部屋へと続く廊下

37台の多様なメーカーの装置の運用をMaterialiseソフトウェアで業務効率化

Materialise Magicsは、お客様のAM業務にどう貢献しているのでしょうか?

Materialiseでは、新しいソフトウェアや新しい機能が搭載される際に、ベータテストとしてヘビーユーザーのお客様にいち早く使用いただき、改善点などをフィードバックいただいています。SOLIZE様にもベータテストに参加いただいております。

ベータテストに限らず、新しい機能の提案やフィードバックがユーザーから直接伝えられる点が非常に良いと思います。現場の視点での気付きや運用面のノウハウを直接伝えた内容が、ソフトウェアのアップデート時に反映される点や、Materialise側から活用方法について提案があることはありがたいですね。

以前、(粉末焼結機のパーツ配置を自動化する)Sinterモジュールを使用する際に造形方向や造形物同士の隙間をあける際に、必要なパラメーターを自分たちで設定していました。その設定自体を自動的にできるようアップデートの際に改修され、とても助かりました。

Materialiseのソフトウェアを活用するメリットは、自分たちが標準化している作業や設定を自動化できる点が最も大きいと感じています。MagicsやSinter、Robot、そして e-Stage のいずれも、自分たちのやり方がそのままソフトウェア上に自動的に反映できる点に魅力を感じます。

御社では3Dプリンターの販売も手がけられていますが、お客様からはAMに関して、どのような要望をいただいているのでしょうか

3Dプリンター単体を売るだけ、依頼されたものを作るだけでは価値を生み出しにくい時代だと感じています。お客様が当社に期待されているのは、世の中に先駆けて新しい技術に触れて、お客様が世に出す製品に役立つノウハウや技術を提供し続けることです。

特に昨今は3Dプリンターのみならずソフトウェアに対する知見やノウハウについて情報を求められる傾向にあります。当社で長きに亘って取り扱っているMagicsに対する関心も高く、お客様の現場で自動化できるところを見出し、当社が取り扱う3DプリンターにMaterialiseのソフトウェアとこれまでに培った設計ノウハウを組み込んで、ソリューションを一気通貫で提供していきたいと思います。例えば、「最適なパッキングパターンによるパーツコスト削減」などをご提案しています。

3Dプリントしたパーツを並べた画像
多様なパーツの配置最適化は単価を下げる事に寄与する

時代が著しく変化するなかで、AMは製造業にどのように貢献するでしょうか

SDGsという観点では必要な時に必要な場所で必要な数だけ製造できるという点で、物流や材料も含めた環境問題に大いに貢献するでしょう。

更には従来の工法では実現しなかった形状や、AMだからこそできる特徴を活用できれば、現在AMが採用されている自動車や航空・宇宙分野、医療機器以外にも広がっていくでしょう。今後、需要が更に高まることが見込まれるなかで、今後もMaterialiseと当社が持つノウハウを連携させて、AMの可能性を発信し続けたいと思います。


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