EXPERT INSIGHT
マテリアライズとHP社、 ユーザーによるAMプロセスのコントロールを強化
アディティブ・マニュファクチャリング’(AM)が成熟するにつれ、AMユーザーは、プロセスをさらに合理化し、効率を向上させるために、オペレーションをさらにコントロールすることを目標としています。マテリアライズは、業界30年の経験から、ソフトウェアをハードウェアに統合することの利点を、身をもって体験してきました。その上で、生産技術者がプロセス全体のコントロールを得て、設備計画を改善するために使用できる、有効的な情報を提供してきました。生産性の向上に加えて、ソフトウェアには知的財産(IP)を保護する機能もあり、これらの要素はAMをビジネスの一つとして取り入れようとしている生産現場で注目される重要なポイントです。
マテリアライズの企業PRマネージャーであるKristof Sehmke氏は、HP社の3Dビジネスモデルおよびプログラム担当ディレクターであるRebecca Campbell氏と、マシーンコミュニケーション、デジタル著作権管理、HPデジタルマニュファクチャリングネットワーク(DMN)について話しました。
シームレスなAM環境の構築
明確で整理された効率的な AM オペレーションを実現するためには、ソフトウェアとハードウェアの統合が必要不可欠です。マテリアライズのHP Build Processorは、ソフトウェアからHP Multi Jet Fusionファミリーのあらゆるマシンへ、シームレスな接続を確立し、生産性を大幅に向上させます。リアルタイムのデータをユーザーに提供しながら、デザインからプリンターまでのプロジェクトをシームレスに接続し、双方向のコミュニケーションを促進します。
このような双方向のコミュニケーションは、HP Build Processorの特徴の一つであるBuild Time Estimatorにより、必要不可欠なデータを共有し、ユーザーはより多くのコントロールを得ることができます。さらに、マシンの所要時間が表示されるので、ユーザーはそのデータを基に、より早く意思決定を行い、生産スケジュールを改善することができます。さらに、マシン間で行き交う通信は、造形された部品、または造形される予定の部品のトレーサビリティーを促進します。ライブデータはマシンの状態を明確に示し、ログデータは時間の経過とともに保存され、各部品がどのような手順を経てきたのかを正確に特定し、Streamics にインポートして管理することができます。Streamicsには、その情報を取得して対応するレポートを作成する機能があり、ユーザーは過去の傾向から学び、今後の生産工程の改善に役立てることができます。
弊社ソフトウェアは多くのプロセスを自動化し、オペレータがより価値のある作業に集中できる環境を生みだすだけではなく、ワークフローをさらに改善するための非常に貴重なデータまでもをユーザに提供します。プリンタとソフトウェア間の双方向通信により、リアルタイムのデータをユーザーに提供し、トレーサビリティとマシンのスケジュール管理を強化することを可能にしながら、プロジェクトがスムーズに実行されることを保証します。
プロセス全体でプロジェクトのセキュリティを管理
これらの効率性の向上に加えて、双方向通信は、多くの人が頭を悩ませている問題であるAM製造のセキュリティを改善します。
世界的テクノロジー時代の中で、デジタルマニュファクチャリングへの移行に不安を感じている人たちにとって、サイバーセキュリティへの関心が高まっています。知的財産を保護するためには、AM造形工程の各段階で、誰がどのファイルにアクセスし、何ができるかを管理することが必要不可欠です。
ここでデジタル著作権管理の出番です。デザインが間違った人の手に渡ってしまうと、機密性が危うくなってしまいます。Rebecca氏によると、「デジタル著作権管理では、データの完全性を維持し、顧客のIPやデザインに込めた思いがすべて保護されるという確信を与えるのに役立ちます」。 マテリアライズとHP社は、3Dプリントのセキュリティを向上させることが非常に重要であると認識しており、追加のセキュリティ対策を実施するため、さらなるステップを踏み出しています。
データ保護のための行動
マテリアライズのソフトウェアとHP社の3Dプリンタを使用し、インソール生産を3Dプリントで行っているSuperfeet社とのプロジェクトでは、セキュリティ強化の追及をしました。
シームレスで安全な AM ワークフローを追求するために、マテリアライズとHP社はSuperfeet社と共に、 AMファイルのセキュリティを強化するパイロットプロジェクトに取り組みました。このコラボレーションにおいてSuperfeet社は、製品の造形方法に関する仕様を明確化することでファイルのセキュリティ保護に成功しました。
“デジタル著作権管理は、本当に正しい人だけが、正しい量と正しい技術で、その部品を正しい時間に造形できることを保証します。今回のSuperfeet 社とのパイロットプロジェクトは、今後問題視されるであろうセキュリティに関する課題を予測した上で実施したため、今後の対策に向けて先手を打つための大切な機会でした。マテリアライズとHP社は、引き続き私たちのお客様に自信を持ってAM生産・造形をしていただけるよう、努めていきたいと考えています。”
— HP Inc.の3Dビジネスモデルおよびプログラムのディレクター、Rebecca Campbell
このプロジェクトの成果は心強い一歩であり、HP 社とマテリアライズは共に、AM造形の世界でより多くのセキュリティ対策を達成するための道を歩み続けることに専念しています。
AM製造業界をさらに活性化していきたいという同じ目標を持つ企業として、HP社とマテリアライズはHP社のデジタルマニュファクチャリングネットワーク(DMN)の利点を活かし、大きな改善に向けて共に前進します。 マテリアライズは、AMテクノロジーでの生産・造形に対して最も厳しい産業に対応するために必要とされる高い基準を満たしており、認定された生産および品質プロセスを使用しています。さらに、マテリアライズは MJF テクノロジーの使用にー早く取り組んだ企業の 1 つであり、DMNのメンバーでもあります。 マテリアライズの HP Build Processor や Superfeet社とのプロジェクトの例は、AM業界へ大きな期待をいだいているパートナー企業が協力して実現しました。今後もパートナー同士での協力と努力により、AM業界に更なる変化が到来することでしょう。
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