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2019年トレンドスポッター : 院内3Dプリント(ポイント・オブ・ケア3Dプリンティング)に注目

4 分で読めます|出版 1月 29, 2019
人間の脳の3Dプリントされた解剖学的モデル

2018年は、ポイント・オブ・ケア 3Dプリンティング(院内3Dプリント), にとって重要な一年でした。欧米のマテリアライズでは、院内3Dプリントを通して数千人の患者の治療をサポートし、画期的な成果をあげました。 私たちは、2019年以降、手術計画に3Dシミュレーションや3Dプリントを利用する医師や施設がさらに増え、一層多くの患者治療に活かされることを期待しています。

ポイント・オブ・ケア3Dプリンティング(院内3Dプリント)とは、例えば、病院内で製作される解剖模型のように、院外に委託せずに治療の現場で作られた医療機器や器具、その周辺アイテムのことです。通常、院内3Dプリントは、MRIやCTのような患者の医用画像データを使用します。外部の3Dプリントサービスを使用する場合とは異なり、医師が必要な時に院内にあるデータを使用してすぐに解剖モデルを作ることができ、他の診療科や領域の専門知識が必要な場合にも、多くの専門家がいる院内ですぐに確認することができます。最終的には、模型のリードタイムの削減になり、その分より多くの患者がそのメリットを享受できることになります。それと同時に、この技術を活用する症例や使い道の幅も広がります。

3Dプリントの導入やテクノロジーへの投資増加、3Dプリント設備の拡大に力を入れる病院が増加しています。これは、病院が新しい技術を手探りで活用する段階を過ぎて、より高度で大規模なアプローチを行う段階に急成長していることを意味します。3Dプリント機能をセントラライズして、効率や規模が拡大することによって、病院はこれまで以上に医療用3Dプリントのメリットを患者治療に活かすことができます。米国では、 過去に治療が不可能だった患者を治療 するためにこの設備を活用したケースもあります。

2018年に築き上げられた土台

見逃した方のために、2019年以降のさらなる進展に向けて2018年の基礎作りに貢献した4つの出来事を紹介します。

  • • 米国食品医薬品局 (FDA) は、院内3Dプリントで解剖模型の作成に関わるソフトウェアシステム (Mimics inPrint)に初めて認可を出しました. これは、医用画像処理ソフトウェアおよび3DプリントにおけるMaterialiseの30年に及ぶ経験によって実現したことといえます。 FDA認可済みのソフトウェアを利用して医用画像取得から印刷までのワークフロー全体を網羅できるようになり、業界にとってもインパクトの大きい進展です。トップレベルの病院 では、このテクノロジーが患者のオーダーメイド治療にもたらす付加価値が理解されてきており、医療業務の一環として統合された3Dプリントサービスが導入されています。 米国においては、Mimics inPrintは、診断用解剖模型の製作、患者のオーダーメイド治療、治療選択などにおいて、病院を支援しています。
     
  • 新しいパートナーシップが、 Stratasys や Ultimaker といった3DプリンターメーカーとMaterialiseとの間で結ばれました。 このコラボレーションによって、Mimics inPrintが510k認可を受けたこともあり、Materializeは3Dプリンターおよび材料を認証することとなりました。これによって、市場にとって初めての前例として、解剖模型を製作するためのソフトウェア、ハードウェア、そして材料の事前審査を行う仕組みができました。この認定プログラム によって、自施設に院内3Dプリントの導入を検討している病院は、品質基準を守ることができ、3Dプリントのソフトウェアとハードウェアの連係が保証され、解剖模型の製作プロセスにまつわる不安が軽減されたと言えます。
     
  • • 米国医師会は、新たにCPTコードと呼ばれる 3Dプリントのビリングコード を採用しました。このコードは、2019年7月より実施される予定です。このカテゴリーIII のCPTコードの履行により、病院での3Dプリント使用に関するデータをより多く集めることができ、償還の取り組みに必要な根拠にもなるため、業界全体の利益につながると期待されています。

    この取り組みに貢献し、医療用3Dプリントコミュニティの著名なメンバーの 1 人でもある Mayo ClinicのJonathan Morris医師は、患者固有の解剖模型に対する償還 について、次のように書いています: 「やるべきことはたくさんありますが、2019年の下半期には、画像から得られる情報を漏れなく患者固有の模型に反映できるようになっているはずです。」  
  • • 北米放射線学会の3Dプリント分科会(3D Printing Special Interesting Grounp)は、臨床的な適合基準を含む医療用3Dプリントに関する ガイドラインを公開しました。これには、解剖模型を使用する症例や特定の病状の患者に関するガイダンスが記載されています。

    RSNAがこのガイドラインを作成したのは、医用画像を元にした安全で一貫性のある3D印刷モデルの製作を推奨し、3Dプリントが特定の病状の患者への治療を意図した用途に適しているということを説明するためです。

    医用画像検査に含まれる情報の価値を示したり、広げたりする方法として、3Dプリントの効果が認められる症例には、例えば、総動脈幹、両大血管左室起始症、頭蓋骨および顔面骨の先天性奇形、腎癌および複雑寛骨臼骨折などがあります。

将来への期待

現在、アメリカのポイント・オブ・ケア3Dプリンティング(POC3Dプリント)導入施設の69%が3年以上継続して運用しています。 2019年以降も新たに導入する施設が増え、この数値の変化が見込まれます。 リサーチ会社Gartnerは、2021年までに外科医の25% が手術前に3D印刷した模型で練習するようになると予測しています:

「3Dプリントは人目につかないバックオフィスのラボから、手術のトレーニングやシミュレーションを向上する戦略の一部として最前線で活用されるようになります。」

2018年の進展をふまえると、2019年も採用する病院が増え、更に多くの患者の支援につながると期待されています。使用件数が増え、より多くのデータが公開されることによって、認知度が上がり、証拠も増え、3D技術への投資を最優先する病院も増えてくると思われます。

2019年初旬の時点では、特に以下のことが予想されています。:

  • 病院による採用の増加、3Dプリントが病院の中心的設備へと移行
  • 北米以外での市場の急成長
  • 3Dプリントに関連した規制の変化 により規制機関の理解度が深まる
  • ソフトウェア メーカーと3Dプリンター メーカーとのより戦略的なパートナーシップ
  • 特定部位の解剖模型に対する償還獲得の実現に向けた前進

L-102855–01


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